所用があったので、ゴールデンウイークを利用して、徳島に行き、ついでに足を延ばして、大歩危・小歩危に行ってきました。
地下駐車場まである、ラピテという施設もあり、ご他聞にもれず、観光名所として人工的なものが加えられていました。自然は素晴らしく雄大で、その絶景に見入ることは出来ましたが、整備され尽くした感は否めず、少し残念な気がしました。
そして、いよいよ、日本三大秘境の一つと言われる、祖谷のかずら橋に行ってみて、そのあまりの俗化ぶりに、唖然、愕然として、失望しました。
秘境のたたずまいはどこにもなく、観光みやげを売る大きなコンクリートの建物を通らないことには、かずら橋には行けないような仕組みになっているのです。
その建物も込み合っていましたが、坂を下って、橋を渡る手前は、万博の日立館に並ぶより過酷なような長蛇の列です。
みんな、疲労の色をにじませながら、それでも並んでいました。
今の日本で、秘境と呼ばれるような所は、もうないのだと思います。
旅行のガイドブックに載り、テレビで放送される所のどこが秘境でしょうか…。
筑摩書房の現代文の教科書に掲載されている、今福龍太氏の「ファンタジー・ワールドの誕生」という文章の中に、「食人族ツアー」と銘打って、未開の文化に触れられるという旅そのものが、すでに文明によって
プロデュースされたものであるという意味のことが書いてありましたが、結局、メディアに触れた時点で、秘境でもなんでもなくなってしまうのです。
観光地として、生活もかかっているのですから、秘境を秘境のまま保存することは、成り立っていかないことなのですね。
淋しいことですが、仕方のないことなのかもしれません。


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